2017.02.13 フード

伝統と革新の風が吹く 温故知新を体現する忠孝酒造

忠孝酒造のお酒は、イオン琉球のオンラインショップにて購入できます。

今回ライターがお邪魔してきたのは、泡盛酒造を見学できる「忠孝酒造株式会社」さん。

那覇空港から車で10分の距離にある「くぅーすの杜 忠孝蔵」は、泡盛工場や古酒蔵はもちろん、甕(かめ)造りを行う忠孝窯の見学もできる施設。泡盛の文化・歴史を学ぶことができるほか、無料試飲を楽しめたり、限定商品を購入したりできます。

県内でもトップクラスの蔵元「忠孝酒造」の知られざる魅力を、存分にご堪能あれ♪

酒造見学で知った忠孝酒造の気概

「くぅーすの杜 忠孝蔵」で働く洌鎌(すがま)さんのご案内で、工場・窯・古酒蔵・地下貯蔵庫の見学をしました。
手作り泡盛工場
まず、メインの建物のなかに入ると、ガラス越しに小さな工場が見えました。ここは、沖縄本島で一番小さな「手造り泡盛工場」。米蒸し・甕仕込み・蒸留などを、昔ながらの伝統製法を用いて行っています。

手作業で行われる生きた泡盛造りは、ガラス越しに見学できるのはもちろん、実際に体験することもできます。この日は朝早かったこともあり、残念ながら製造している過程を見ることは叶いませんでした。ですが、甕に入った発酵過程の麹を見られただけでも、大変興奮しました!
忠孝窯
次に見学したのは「忠孝窯」。忠孝酒造さんでは、南蛮荒焼という甕を自社製作しています。素になる粘土の「土」にもこだわっているとのこと。使用する土は2種類で、南部で取れる“島尻ジャーガル”と、やんばるで取れる“琉球赤土”をブレンドして、オリジナルの粘土を造っています。
甕をつくる職人さん
甕は一つひとつ職人さんにより手造りされており、ろくろでの成形過程を見学することができます。繊細な手つきは、まさに職人技。あっという間に滑らかで美しい形ができあがりました。

実は泡盛は、甕・酒器がギュッと焼き締まっていないと、漏れてしまうそう。その点、忠孝酒造さんの甕・酒器は収縮率が非常に高く、長期貯蔵に向いているといわれています。造りたてから焼き上がりまでで約45%収縮されているため、焼締めが高く、かつアルコールが抜けにくいという実証もされています。

仕上がりは磁気や金属に近く、叩くとキンキンという高音の金属音がするのも特徴です。また、忠孝酒造さんでは、大型の甕も自社製作されています。写真は、一升瓶20本分の量が入る二斗の甕です。
甕
甕の模様・色は、窯に入れた薪が燃え上がる際に、薪のなかの樹液によって付けられるそう。すべて自然が作り出し、一点もののデザインなのです。2つとして同じ模様・色はないなんて、とっても素敵です。
貯蔵タンク
ほのかな古酒香と木の香りで満ちた「木造古酒蔵」には、巨大な貯蔵タンクが18本と、約800個もの甕が並べられていました。ひとつのタンクに入っている泡盛の量は、一升瓶に換算すると約2万5000本。これらは3年以上貯蔵され、美味しい古酒になるまでゆっくりと熟成されます。穏やかに流れるクラシックのBGMが、優しく柔らかい風味を添えてくれているかのよう。
オーナーズ貯蔵庫
最後に見学したのは、オーナーズ貯蔵庫と呼ばれる「地下貯蔵庫」。ここは、お客さまの泡盛を預かり、保存しておく場所なんだとか。基本5年、最長20年預けることができます。

貯蔵用の泡盛には、マンゴー果実酵母を使用した原酒を使用しているそうです。マンゴー果実酵母には発酵を早める作用があるため、最短の5年貯蔵しただけでも、しっかりとした古酒ができあがるとのこと。期日になると自宅へ発送してくれるので、お子さんの誕生記念に泡盛を購入・預ける方も多くいるそうですよ。お子さんが生まれた日に貯蔵して、20歳の記念にプレゼントできたら、素敵ですよね♪
泡盛の試飲・お土産コーナー
見学後は試飲・お土産コーナーを散策。すべての泡盛を無料で試飲できるとのことで、いろいろといただいてきました♪ ノンアルコールの甘酒やお菓子などの試飲・試食もあるので、ハンドルキーパーの方でも楽しめます

まだ足を運んだことのない方は、ぜひ一度見学してみては? きっとまだ知らない泡盛の魅力に触れることができるはずです。

気になったことをインタビューで聞いてみた

ふと気になったことが浮かんだので、案内をしてくれた洌鎌(すがま)さんにインタビューしてみました。
インタビューを受ける洌鎌さん
――ここに来て泡盛を買われる方の用途や目的は、何が多いですか?

「地元の方は、記念品に買われることが圧倒的に多いですね。瓶も甕も、文字入れなどの加工ができるので、誕生記念・結婚記念・新築記念などで買われる方が多い印象です。一方、観光客の方は、やっぱりお土産に買われる方が多いです。今は、地元客も観光客も、半々ぐらいの割合で訪れてくれています」

――観光客の方が多いイメージがあったのですが、地元の方もいらっしゃるんですね

「はい、うちは地元のお客さまも結構多いですね」

――ふむふむ、なるほど。忠孝蔵さんといえば、昔から「夢航海」が愛されているイメージです。やはりいまだ人気は衰えずですか?

「そうですね。夢航海は昔からずっとあるので、ファンの方は多いです。ただ、うちは新商品もどんどん出すので、そういう新しいものにシフトしている方も多いですね」

――ちなみに購入される方の年齢層はどれくらいなのでしょうか?

「観光で来られる方ですと、40代以上の方が多いです。忠孝蔵は記念品関係が多いので、県内の20~30代の若い方も買われますよ。ですが、やっぱり県外の若い人にはあまり……」

――認知度が低い?

「そうですね」

――ちなみに、数年前から県内でも若者の泡盛離れが懸念されていると囁かれていますが、そういった若者に向けて、泡盛を知ってもらうような取り組みなどは行っているのでしょうか?

「若者をターゲットに、という取り組みはまだやっていませんね。でもやっぱり、若い方も、これからいろいろなシーンで記念品を購入する機会があると思うんです。たとえば、お子さんの誕生記念とか。そういった意味では用途があると思うので、DMやHPなどでアピールしています」

――工場では泡盛造りを体験できるということですが、参加できる年齢は決まっているのでしょうか?

「保護者同伴であれば、お子さまからでも参加は可能です。ただ、お子さんの身長は110cm以上とさせていただいています。小学校3~4年生くらいですかね。ちなみに、自分で造った泡盛の一升瓶を一本プレゼントするのですが、その費用は参加費のなかに含まれています。ただし、差し上げるのは大人の方だけです(笑)」

――実際にお子さんと参加される方はいらっしゃいますか?

「そんなに数は多くはないんですけど、年間で何組かはご参加いただいています。たとえば、夏の自由研究のテーマを目的として来られる方もいらっしゃいますね」
忠孝酒造の泡盛について語る洌鎌さん
――今ざっと見ただけでもかなりの数の泡盛がありますが、なかでも特に人気の高い泡盛をお伺いしてもよろしいでしょうか?

「泡盛でいえば、「四日麹」は人気があります。あとはマンゴー果実酵母を使ったものですね。今のところ、この2つが人気の高い商品です」

――試飲をさせていただきましたが、とても美味しかったです。どちらも飲みやすいなという印象を受けました。

「そうですね。実際の度数よりも、飲みやすいかもしれないです。従来の泡盛とはまた少し変わった風味を持つところがありますね」

――泡盛に慣れ親しんだ方でも新しい気持ちで楽しめる、ということでしょうか?

「はい、そうですね。ぜひ多くの方に楽しんでもらいたいです」

――洌鎌さん、ありがとうございました! 今度はぜひプライベートでお邪魔したいと思います。

「ありがとうございます。4月には無料で泡盛を楽しめる春祭りもありますので、ぜひいらしてください」

急なインタビュー依頼にも関わらず、快く受けてくださった洌鎌さん、本当にありがとうございました。

泡盛マイスター・黒島さんが語る、忠孝酒造の趣

今回、取材に同行してくれたのは、イオン琉球の泡盛マイスター・黒島さん。黒島さんに、忠孝酒造さんの魅力を語っていただきました。

――泡盛マイスターという立場から見て、忠孝酒造さんの泡盛にはどのような特徴があると感じますか?

「忠孝酒造さんの泡盛は、香りがとても豊かですね。特に忠孝原酒という泡盛は、バニリンというバニラの香りの主要となる成分の作用で、甘くてまろやかな香りがします。鼻に抜ける香りがとてもいいので、ストレートやロックで楽しむことをおすすめします」

――ストレートやロックはお酒が弱い方にとってはかなり勇気がいるかも……。

「泡盛を楽しむ際は、飲むというより“舐める”ということを意識するといいかもしれません。ちびちびと、少しずつ、お酒本来の味を楽しむ。ストレートやロックをおすすめする理由は、香りをじっくり楽しんでもらいたいからです。お酒と聞くとガブガブ飲むイメージがありますが、度数が高い泡盛をがぶ飲みすると、喉がカッと焼けてしまいますしね。もちろん、なかにはグイッと飲みたいという方もいるかもしれません。そういった方は、シンプルな水割りなどで楽しむといいかと思います」

――忠孝酒造さんの泡盛のなかで、黒島さんが個人的に好きな一本は何でしょうか?

「マンゴー果実酵母の原酒ですかね。自分用に家にも置いていますし、飲みやすくておすすめですよ」

――ちなみに、イオン琉球には忠孝酒造さんの泡盛はどれくらい取り揃えているのでしょうか?

「厳密に何種類とは言えませんが、県内どの店舗でも多数取り揃えています」
泡盛マイスター・黒島さん
穏やかに、忠孝酒造さんの泡盛の魅力を語ってくれた黒島さん。インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。

正統派から個性派まで! 忠孝酒造の泡盛ラインナップ

忠孝酒造さんから発売されているお酒は、とてもバリエーションが豊富。今回は、その一部をご紹介します。
黒あまざけ

黒あまざけ
「黒あまざけ」は、「黒麴菌」を使用した沖縄ならではのユニークな甘酒です。クエン酸が配合されているため、甘酸っぱくすっきりした後味が楽しめます。ノンアルコールなので、お子様や妊婦さんにもお楽しみいただけます。2016年に開催された「むらおこし特産品コンテスト」では、県内ではじめての経済産業大臣賞を受賞しています。話題性も抜群の一品です。
華忠孝 30度

華忠孝 30度
「華忠孝 30度」は、2015年夏にデビューした泡盛です。最大の特徴は、「マンゴー酵母」が使用されているということ。開栓した瞬間、マンゴーの甘い香りがふわっと広がります。ロックで飲めば、甘い香りとまろやかな口当たりをより楽しむことができます!
夢航海 30度

夢航海 30度
「夢航海 30度」は、“泡盛らしさ”をとことん引き出した、個性的な一品。その味わいの秘密は、「シー汁浸漬法」にあります。シー汁浸漬法とは、洗っていない原料米を、乳酸菌などを含有する浸漬液「シー汁」で発酵させる製法のこと。昭和30年代頃まで行われていた伝統的な製法です。「現在の泡盛とは一風変わった味を楽しみたい!」という方におすすめの一品です。水割りは、チャンプルー料理と相性抜群!

今回ご紹介した3つの商品は、イオン店舗やマックスバリュの一部店舗にて取り扱っています。この機会に、ぜひお手にとってみてください。

思い出が、泡盛の味わいを深くする

いかがでしたか? 今回ご紹介した忠孝酒造さんの魅力はごくごく一部! まだまだたくさんの驚きや発見が、「くぅーすの杜 忠孝蔵」には隠されています。

友人や家族、恋人と一緒に酒造見学を楽しむ、なんていう日があってもいいかも。ここで過ごす素敵な時間は、きっと泡盛の香りとともに、何度でも懐古されるはずです。

忠孝酒造のお酒は、イオン琉球のオンラインショップにて購入できます。

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