極上の沖縄そばを、お店や家庭で。「首里そば」に行ってきました!
沖縄そばといえば、沖縄の定番料理のひとつ。沖縄そば専門店や定食屋さんなど、多くの飲食店で注文することができます。外食だけでなく、ご家庭でよく作って食べるという方も多いのではないでしょうか?
そんな沖縄そばですが、身近な食べ物だからこそ、その魅力はあまり知られていません。地域ごとに麺の種類が変わったり、お店ごとにこだわりがあったりと、知れば知るほどその奥深さが見えてきます。
そこで今回は、沖縄そばの人気店のひとつ「首里そば」に取材させていただき、いろいろな話を伺ってきました!
ちなみに、行列必至の首里そばの味は袋麺として販売されているということをご存じですか? どのように調理すれば美味しく食べられるかも教えていただけたので、ぜひチェックしてみてください。
沖縄そばが家庭の食卓に並ぶまで
こちらが、首里にお店を構えている首里そば。地元の人だけでなく観光客も多く訪れる、人気の専門店です。沖縄にはこのように沖縄そば専門店が多くあるわけですが、沖縄そばは家庭料理としても定番の味ですよね? 実は、沖縄そばが家庭の食卓に並ぶまでには、意外な歴史があるのです。これを知ると、沖縄そばのことがもっと好きになれるかもしれません。
沖縄そばは、中国から中華麺が輸入されたものがルーツだといわれています。その時期は、14世紀ごろとも15世紀ごろともいわれており、はっきりしたことはわかっていません。当時は、沖縄そばの材料となる小麦粉が高価だったこともあり、宮廷のみで食されていたと考えられています。
市民が沖縄そばを食べるようになったのは、明治の中期。那覇に中国人がお店を構えたのが最初で、それから徐々に沖縄そばを提供するお店が増えていったといいます。
転機となったのは、本土復帰の年である1972年以降。日本そばと区別するための名称「沖縄そば」が定着しますが、その4年後、公正取引委員会から「そば」と名乗ることをやめるよう言われてしまいます。沖縄そばの原料は小麦粉がメインで、そば粉は一切使われていません。そのことが規約違反であると判断されたのです。
しかし、長い間親しまれてきた沖縄そばの名称を変えたくないと考えた沖縄生麺協同組合は、本土との交渉を開始。長い交渉の末、2年後の1978年10月17日、「本場沖縄そば」という名称を使ってよいという許可が下りたのでした。
こうして沖縄そばという呼び名が失われることなく、県民の家庭料理として定着していったのです。この交渉がなければ、沖縄そばは廃れていたかもしれません。
ちなみに、沖縄そばという名称を勝ち取ったことを記念して、10月17日は「沖縄そばの日」となりました。沖縄県のあちこちで、沖縄そばに関するイベントやセールが行われています。この日は沖縄そばのお店へ行ったり、家庭で作ってみたりして、郷土の味を楽しんでみるといいかもしれませんね♪
首里そばのこだわりを、店主に聞いてきました!
沖縄そばの名店は数あれど、そのなかでもひときわ名を轟かせているのが1951年に首里で開業した「さくら屋」。残念ながらもうお店を畳んでしまっていますが、ファンがとても多く、現在も語り継がれています。
そのさくら屋の味を受け継いでいるのが、同じく首里にお店を構える「首里そば」です。その魅力を探るべく、首里そばの店主・仲田靖さんにお話を伺ってきました!
仲田さんは一見すると強面ですが、気さくでとても優しい方。そして、麺や出汁に対して強い誇りを持っておられる印象でした。
――首里そばで食べる沖縄そばは、麺が特に独特だなと感じています。製法などにこだわりはありますか?
「ちょっとでもコシを出したくて、手もみに時間をかけていますね。手もみすればするほどコシが出てくるんですよ。これに一番気をつけていますね」
――メニューは沖縄そば一品だけですか?
「そばに関しては大、中、小、これだけですね」
――お店によっては工夫をこらしてバリエーション豊かなメニュー展開にしていることもあると思うのですが、そうではなくひとつの沖縄そばにこだわっている理由はありますか?
「なんででしょうね?」
――(笑)
「たとえば、肉そばなどをやってしまうと出汁が濁ってしまうのであまりやりたくないんですよね。だからかな?」
――なるほど。出汁の見た目も大事なポイントですか?
一応見た目とかにもこだわりますね。極力スープは透明にして、三枚肉も脂を抜いて時間かけるようにしています。脂があると、それが出汁に溶けてしまうんですよ。そうやって透き通るようにしていくのがこだわりですかね。
このようなこだわりを持つ首里そばの沖縄そばを、実際に食べてみました!
出汁の見た目にもこだわっていると話されていたとおり、透き通る出汁がとてもきれいです。余計なものを入れていない麺は沖縄そばでは珍しい色をしており、どんな味がするのかと期待が高まります。紅ショウガではなく針ショウガを使っているのも、珍しいですね。
食べてみると、出汁は見た目どおりに薄味。麺はシンプルな味ですが、コシがとても強く、噛みごたえが抜群でした。丹念に手もみをした麺と薄めの出汁はとてもよく絡み、一口ごとに満足感があります。
具材がシンプルなのも、素朴で好印象です。脂が溶け出さないようにというこだわりを持っていた三枚肉はとても柔らかく、もちろん脂っこくないので、しっかりした味わいながらも麺や出汁を邪魔していません。
首里そばの味は、沖縄そばのなかではとてもシンプル。だからこそほかには真似できない、唯一無二の沖縄そばだなと感じました。
首里そばの味を再現した袋麺もあります
ぜひ一度は食べていただきたい首里そばの沖縄そばですが、首里そばは超人気店。いつも行列ができますし、1日に作れる量は限られているので、食べに行くのはなかなか難しいといえます。
そんなときは、スーパーで購入できる首里そばの袋麺を試してみてください。首里そばの味を家庭でも楽しめるよう、店主の仲田さんが監修して作られた袋麺です!
こちらがその商品。
この袋麺についても、仲田さんにいくつか質問をしてみました。
――袋麺を販売するようになったきっかけはありますか?
「そば作りはどうしても手作業なので、数が限られているんですよ。店は日曜日が休みで、しかもけっこう並ぶので、地元の人とかはなかなか並んでまで食べに来られない。これがきっかけですね」
――袋麺となると、お店で作るものとはどうしても違ってくると思うのですが、再現していくにあたってポイントはありましたか?
「やっぱり気温と温度ですね。気温や湿度によって、加水や配合の割合が変わってくるので。ただ、オキコさんの工場で作ってもらっている場合には、気温や温度が安定しているんですよ。あと、麺を作ってくれる人たちには自分より経験が長い人もいるし、思ったよりスムーズにいきましたね」
――この袋麺を買って家庭で食べるという方も多いと思うのですが、ただ作るだけじゃなくて、よりおいしく食べるためのコツはありますか?
「この麺には塩が入っていないんですよ。店で作るものにも入っていないんです。普通の麺は塩が入ってて、色素とかも入れてるんですけど、首里そばでは小麦粉とつなぎだけで作っているので、スープは意外と薄味でもしっかり絡むんですよ。麺に味がついていたら、どうしても出汁は濃くしないといけない。だから、出汁を取るならカツオ節を多めにして、塩分を少なめにしたほうが美味しくなりますね」
首里そばの袋麺を食べるときの、具体的なアドバイスをいただくことができました! 薄味だけどしっかりしたコシが魅力の首里そば。家庭で食べるときは、出汁も薄味に仕上げるとよいのですね。
首里そばの袋麺は、イオン琉球の店舗でも取り扱っています。首里に伝わる伝統の味が気になる方は、ぜひ一度試してみてください。
沖縄そばの魅力を再発見
上にも紹介したとおり、10月17日は沖縄そばの日です。この機会に、沖縄そばの魅力に改めて触れてみるといいかもしれませんね。